一九九〇年代のバブル崩壊以降、一〇年を超える期間、地価の下落が続き、毎年発表される公示価格に国民の多くはため息をつきました。「失われた土地」と表現されたほどでした。企業はこの間、死に物狂いで体質の改善に取り組むと同時に、資産、特に土地や工場、資材置場、寮や社宅、さらに一歩踏み込んで本社ビルを売却するなど、大胆な資産リストラにも取り組むことによって、借金の返済を進め、財務体質の改善と強化を急ぎました。
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その結果、二〇〇八年三月期末には、上場企業の四割以上が実質無借金経営になったとも報じられました。それが、超低金利と金余りによって大都市圏の地価が反転しはじめ、○五年頃から日本の大都市圈における地価の上昇傾向が鮮明となってきました。新聞、テレビ、経済誌などは、こぞってその事実を大見出しで報道したり、特集を組んだりして伝えました。経済界も地価の反転を歓迎するコメントを発表するなど、久し振りに「明るいニュース」として取り扱われました。不動産業界も「地価上昇」「不動産価格上昇」を隠そうとしませんでした。将来に対する明るい希望を持つようになりました。しかし、その姿勢は少し的はずれたった感があります。