「柱の値段も違いますね。A社では一本一万一千円なのに、B社では七千円になっています」「これはおかしいですね。柱の価格はだいたい相場が決まっているものです。私たちが指定したのは『四寸角』の柱だから、最低でも一本一万円はするはずです。ひょっとしたらB社は「三寸五分』と勘違いしているのかもしれない。私のほうで確認しておきましょう」「何ですか、四寸だとか三寸五分というのは?」「四寸角は一辺が十二センチ、三寸五分は十センチ五ミリの柱です。
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一般の住宅建築でよく使われるのは三寸五分だけど、私たちが設計するときはたいてい四寸角を使うんです。はるかに頑丈になりますから」「へえ、たった一センチ五ミリの違いなのに?」「実際に比べてみればわかりますよ。太さがまるで違います。棟上げ前には『材検』って言って加工場に木材を検査しに行くんですが、一緒に行ってみますか?」こんなやりとりから柱や梁に興味をもったある建て主は、その後も自分で大工工事の本を読んで勉強を続けた。