内容といい、その具体性といい、ルーピン財務長官の提案は、日本の大蔵大臣のそれとは随分違うと思いませんか。もしも日本の大蔵大臣だったらこう発表するのではないでしょうか。「この債券は国が元本を保証するものですから安全です。皆さん安心してお買い求めください。流通市場は後日できる可能性はあります。とにかく国が保証しているわけですから絶対大丈夫です」と。この発言を対比してみれば、市場原理に関する両国の姿勢の違いは明らかです。
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時価による市場主義と自己責任の原則を貫くアメリカと、市場があるとはいってもほとんど機能せず、オカミの後光がないと安心できない日本とはこうも違うのです。このルーピン財務長官の構想には、アメリカの市場原理を特徴づけるいくつかの重要なエッセンスが含まれています。1つは、債券を発行する前からその債券の流通市場をつくってしまうことです。逆にいえば、時価で取引される流通市場がなければ、投資家の方も投資二の足を踏むということです。これは債券投資に限らず、株式も不動産も、すべての資産に共通していえることです。そして2つ目が、キャピタルゲイン非課税というアメとムチ策で、公的な性格の投資を民間に促している点です。スラム街を再開発することは国民の利益になるわけですから、売却益を非課税にするというアメリカのコンセンサスは得やすくなります。アメリカは現在、老朽化したオフィスビルを住居に転換すれば固定資産税が軽減される特例措置を多くの州が取り始めていますが、これもアメとムチの1種でしょう。さらに3つ目には、投資家の自己責任原則にふれることも忘れてはいない点です。発行後の債券のバリューは、あくまで市場原理にしたがって時価で決定されることを投資家に対して念押ししています。不動産投資市場においても、アメリカではあくまで時価を重視する市場原理が貫かれています。不産投資信託(REIT)はまさにその代表です。